メトホルミンとダイエットの関係

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メトホルミンがダイエットに効く理由は、インスリン感受性の改善や食欲抑制、脂肪代謝の向上といった要因に関連していますが、エビデンスの質や効果の大きさは限られています。以下に、その根拠について解説します。

1. インスリン感受性の向上

メトホルミンは肝臓での糖新生を抑制し、細胞のインスリン感受性を高めます。これにより血糖値が安定し、インスリン分泌が適正に保たれるため、体脂肪の蓄積が抑えられやすくなります。インスリンは脂肪蓄積を促すホルモンでもあるため、インスリン抵抗性が改善されることで脂肪の蓄積が抑制され、体重減少につながる可能性があります。

エビデンス:ランダム化比較試験のメタアナリシスにおいて、メトホルミンはインスリン抵抗性を持つ肥満患者の体重減少に効果があることが示されています(例えば、PCOSの患者や糖尿病予備軍を対象とした試験)。

2. 食欲抑制効果

メトホルミンには、食欲を抑制する効果が報告されています。この作用は明確には解明されていませんが、メトホルミンが胃腸の運動を遅らせ、満腹感を持続させる作用があるためと考えられています。

エビデンス:PCOSのある女性を対象とした複数の研究で、メトホルミンによる食欲抑制が観察されています。ただし、一般的な肥満の人々への有効性については限定的です。

3. 脂肪酸酸化の促進

メトホルミンは、細胞内のAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化することで、エネルギー代謝を促進します。この作用により、体内の脂肪酸酸化が増加し、脂肪燃焼が促されます。

エビデンス:基礎研究において、AMPKの活性化が脂肪酸酸化を促進することが確認されています。人での直接的なデータは少ないものの、動物実験では体重減少効果が確認されています。

4. 体重減少に関する臨床試験の結果

メタアナリシス(メトホルミンの肥満や糖尿病予備軍への効果を評価したランダム化比較試験の総合評価)では、体重が約1-2 kgの減少効果があるとされています。ただし、その効果は特にインスリン抵抗性が高い人に限られる傾向があります。

エビデンス:システマティックレビューおよびメタアナリシスでは、インスリン抵抗性のある肥満者では体重減少が期待できるが、健康な成人に対しては効果が限定的であると報告されています。また、長期的な体重管理効果も限定的です。

注意点

メトホルミンの体重減少効果はある程度のエビデンスがあるものの、効果は軽度であり、特にインスリン抵抗性がない健康な成人には期待されにくいとされています。また、メトホルミンの使用は副作用(胃腸障害など)を伴うことがあり、ダイエット目的での使用は推奨されていません。

メトホルミンによるダイエット効果は、特定の条件下(インスリン抵抗性のある場合など)に限られているため、医師と相談のうえで使用の可否を判断することが重要です。